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みんな揃って「いただきます」~は必要???
「まっててね~」…色々な場面で子どもを“待たせる”ことについて、
色んな考え方があると思いますが…
こんにちは!
子どもの育ちを応援します!
一般社団法人そだち 内田淑佳(うちだよしか)です。
できるだけ
子どもを“待たせる”ことを
減らしたい…と
考えている保育士さんは
多いと思います。
でも
集団保育ですから
どうしても“待ち時間”は出来てしまいますし
実際の暮らしの中でも
子どもを“待たせる”ことって
けっこうあります。
そして
私たち大人は
“待てない子”に対して
“困った子”つまり
大人を困らせる=わるい評価
をしてしまうことがあります。
逆に言うと
“待てる子”は“いい子”
みたいなイメージが
どうしてもありますね。
では
大人はどうですか?
あなたは
“待つこと”が
得意ですか?苦手ですか?
さて
タイトルにあります
みんな揃って「いただきます」
ですが
1歳児のクラスで
保育士さんが
一生懸命
みんな揃って「いただきます」を
しようとしている園さんが
まだまだ
あるようなのです。
一体
子どもの何を育てようとしているのでしょうか?
これね
なんとなく
「いただきます」は
みんな揃ってするのが
当たり前
という“思い込み”があり
それを
“させなくてはいけない”
という
これまた
“思い込み”が
外せていない現象です。
人生で
みんな揃って「いただきます」が
必要な場面が
一体どれだけありますか?
はい
これは
「待つ」ことが
必要な場面か否か
という判断と
「待つ」必要がある場面で
必要なだけ
「待つことが出来る」で
解決します。
「待つこと」は
やはり
人生において
必要なスキルでしょう。
それを知っているから
私たちは
子どもに“待つこと”を
教えようとしています。
でもね
“待つこと”と
“みんな揃って”は
別の事項です。
「みんな」の状態を把握して
自分のとる行動を選ぶ
これを「協調性」といいます。
その中に
“待つこと”が必要になる場面が
あります。
“待つこと”は
自分がしたいことを
今すぐにするのではなく
先延ばしにすることです。
「協調性」も
“待つこと”も
人生において
必要なスキルですから
もちろん
育てたい力です。
では
どのような体験から
それらは育つのでしょうか。
みんな揃って「いただきます」
という体験から
「協調性」が育つのでしょうか?
どちらかというと
協調性が育ってくれば
みんなが揃うまで
自分が食べ始めるのを
“待てる”ようになるのではないかと
思います。
「協調性」は
人と力を合わせて
活動することから
育っていきます。
誰かの号令がかかるまで
「いただきます」を“待つ”ことでは
育たないでしょう。
そもそも
1歳児に
“クラスのみんな”という概念は
ありません。
人間の思考と理解力には
発達段階があり
“みんな”を把握することは
いくつかの発達を経た先に
出来ることなのです。
子どもは
自分の周りの環境を
手の届くところから
知っていきます。
運動機能の発達に伴って
「手の届くところ」の範囲を
広げます。
そして
体験を増やすことで
自分と物
自分と人
そして
物と物や
物と人…
というように
この三次元(世の中)が
どのように関連しているかを
知っていきます。
“みんな”という概念は
自分の周りに
自分とは別の人間
例えばAくんとBちゃんと
Cちゃんがいる
ということを
①まず知って
その3人と自分とを
②“ひとつのかたまり”にすることができて
その
“ひとつのかたまり”のことを
③「みんな」と呼ぶ
という風に段階的に理解が進みます。
この
“ひとつのかたまり”にする
という部分が
人間の思考のスゴイところで
共通点をみつけて
仲間にする
↑
これが「概念」を作る出発点になります。
この「共通点をみつけて仲間にする」は
型はめ遊び(〇と●が仲間)
お片付け(積み木は積み木の仲間で集めて同じ箱へ)
などが
理解できているかどうか
で
発達段階を知ることが出来ます。
それで言うと
1歳児クラスでも
お誕生日が来たら2歳
という年齢ですから
目の前のお友達と
ご一緒に
「いただきます」は
出来ると思います。
しかし
遠い席に座っている人を含め
「クラスのみんな」とするのは
かなり広い範囲の人間を認める必要がありますから
(人数にもよりますが)
難しいことになります。
「みんな」の概念は
まずは
近いところに居る
(目の前にいる)
数名を一つにくくることから。
そして
「クラス」は
もう一つ先の概念
「抽象概念」になりますから
もっと先のことになります。
以前
「自己肯定感」のことを書いたブログで
(自己肯定感は"高める"もの?~あなたは「自己肯定感」をどのように理解していますか~ | 一般社団法人 そだち (sodachi.net))
4歳5歳になると
認知機能が発達して
人と比べる=評価
が出来るようになる、とお伝えしました。
「クラス」という
「抽象概念」の理解は
このころから、といえます。
その記事に
「かしこいおサルさんの実験」を
またの機会で紹介しますね、と書きました。
イエール大学の
オマキザルの実験
というものがあって
興味のある方は
Google先生で検索して頂くと
色々な記事が出てきます。
オマキザル
という賢いおサルさんに
トークンという「貨幣」を渡して
どんな行動をとるのか
という実験なのですが
同じトークン1枚で
キュウリがもらえる時と
ブドウがもらえる時があって
キュウリもまあ好きだけれど
ブドウが大大大好物な猿なので
同じトークン1枚で
この差は何なんだ!となるかどうか。
どうなったと思いますか?
この結果は
とても興味深いものです。
結果は・・・
目の前で
隣の猿がブドウをもらっていて
自分がキュウリだと怒る!!
が、しかし
これが
目の前で、でなければ
怒らない、ということなのです。
目に見えないところで
“みんな”がブドウをもらっていても
隣の猿がキュウリであれば
自分がキュウリでも怒らない。
つまり
“みんな”という概念は
持っていない、ということが
わかりました。
実は
目に見えないところを
抽象概念として把握する能力は
ホモサピエンス=現存する人間
独自の特徴であることがわかっています。
オマキザルは
とても賢くて
「貨幣」を使うことは出来ましたし
目の前で起こっている不公平については
理解できました。
イエール大学の実験は
「お金」の使い方について
人間の本能が
どのように作用するかを
探っていくもので
それに関して
かなり興味深い実験結果が出ているのですが
私は
子どもの発達の専門家として
この
「抽象概念の把握」という部分に
焦点をあてて見てみました。
このように
子どもの発達過程を
理解した上で
どんな時期に
どんな体験が必要で
何を感じながら
子どもが発達していくのか
そういう視点で
保育の環境つくりに
取り組んで頂きたいと
願っております。
メンバー限定♡オンラインサロン
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※現在お申込み頂ける研修・講座はコチラから
※保育士のためのコミュニケーション講座
心理学・対人スキル・人材育成
(少人数制で、リアルなお悩みを解決する講座です)
オンライン受講もできます!
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※子どもの発達心理アドバイザー養成講座
(子どもの発達心理、発達過程、発達障害を専門的に学ぶ講座です)
オンラインで個別受講もできます!
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一般社団法人そだち
代表&心理・保育研修講師
内田淑佳(うちだよしか)
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一般社団法人そだち 内田淑佳(うちだよしか)です。
できるだけ
子どもを“待たせる”ことを
減らしたい…と
考えている保育士さんは
多いと思います。
でも
集団保育ですから
どうしても“待ち時間”は出来てしまいますし
実際の暮らしの中でも
子どもを“待たせる”ことって
けっこうあります。
そして
私たち大人は
“待てない子”に対して
“困った子”つまり
大人を困らせる=わるい評価
をしてしまうことがあります。
逆に言うと
“待てる子”は“いい子”
みたいなイメージが
どうしてもありますね。
では
大人はどうですか?
あなたは
“待つこと”が
得意ですか?苦手ですか?
さて
タイトルにあります
みんな揃って「いただきます」
ですが
1歳児のクラスで
保育士さんが
一生懸命
みんな揃って「いただきます」を
しようとしている園さんが
まだまだ
あるようなのです。
一体
子どもの何を育てようとしているのでしょうか?
これね
なんとなく
「いただきます」は
みんな揃ってするのが
当たり前
という“思い込み”があり
それを
“させなくてはいけない”
という
これまた
“思い込み”が
外せていない現象です。
人生で
みんな揃って「いただきます」が
必要な場面が
一体どれだけありますか?
はい
これは
「待つ」ことが
必要な場面か否か
という判断と
「待つ」必要がある場面で
必要なだけ
「待つことが出来る」で
解決します。
「待つこと」は
やはり
人生において
必要なスキルでしょう。
それを知っているから
私たちは
子どもに“待つこと”を
教えようとしています。
でもね
“待つこと”と
“みんな揃って”は
別の事項です。
「みんな」の状態を把握して
自分のとる行動を選ぶ
これを「協調性」といいます。
その中に
“待つこと”が必要になる場面が
あります。
“待つこと”は
自分がしたいことを
今すぐにするのではなく
先延ばしにすることです。
「協調性」も
“待つこと”も
人生において
必要なスキルですから
もちろん
育てたい力です。
では
どのような体験から
それらは育つのでしょうか。
みんな揃って「いただきます」
という体験から
「協調性」が育つのでしょうか?
どちらかというと
協調性が育ってくれば
みんなが揃うまで
自分が食べ始めるのを
“待てる”ようになるのではないかと
思います。
「協調性」は
人と力を合わせて
活動することから
育っていきます。
誰かの号令がかかるまで
「いただきます」を“待つ”ことでは
育たないでしょう。
そもそも
1歳児に
“クラスのみんな”という概念は
ありません。
人間の思考と理解力には
発達段階があり
“みんな”を把握することは
いくつかの発達を経た先に
出来ることなのです。
子どもは
自分の周りの環境を
手の届くところから
知っていきます。
運動機能の発達に伴って
「手の届くところ」の範囲を
広げます。
そして
体験を増やすことで
自分と物
自分と人
そして
物と物や
物と人…
というように
この三次元(世の中)が
どのように関連しているかを
知っていきます。
“みんな”という概念は
自分の周りに
自分とは別の人間
例えばAくんとBちゃんと
Cちゃんがいる
ということを
①まず知って
その3人と自分とを
②“ひとつのかたまり”にすることができて
その
“ひとつのかたまり”のことを
③「みんな」と呼ぶ
という風に段階的に理解が進みます。
この
“ひとつのかたまり”にする
という部分が
人間の思考のスゴイところで
共通点をみつけて
仲間にする
↑
これが「概念」を作る出発点になります。
この「共通点をみつけて仲間にする」は
型はめ遊び(〇と●が仲間)
お片付け(積み木は積み木の仲間で集めて同じ箱へ)
などが
理解できているかどうか
で
発達段階を知ることが出来ます。
それで言うと
1歳児クラスでも
お誕生日が来たら2歳
という年齢ですから
目の前のお友達と
ご一緒に
「いただきます」は
出来ると思います。
しかし
遠い席に座っている人を含め
「クラスのみんな」とするのは
かなり広い範囲の人間を認める必要がありますから
(人数にもよりますが)
難しいことになります。
「みんな」の概念は
まずは
近いところに居る
(目の前にいる)
数名を一つにくくることから。
そして
「クラス」は
もう一つ先の概念
「抽象概念」になりますから
もっと先のことになります。
以前
「自己肯定感」のことを書いたブログで
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4歳5歳になると
認知機能が発達して
人と比べる=評価
が出来るようになる、とお伝えしました。
「クラス」という
「抽象概念」の理解は
このころから、といえます。
その記事に
「かしこいおサルさんの実験」を
またの機会で紹介しますね、と書きました。
イエール大学の
オマキザルの実験
というものがあって
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オマキザル
という賢いおサルさんに
トークンという「貨幣」を渡して
どんな行動をとるのか
という実験なのですが
同じトークン1枚で
キュウリがもらえる時と
ブドウがもらえる時があって
キュウリもまあ好きだけれど
ブドウが大大大好物な猿なので
同じトークン1枚で
この差は何なんだ!となるかどうか。
どうなったと思いますか?
この結果は
とても興味深いものです。
結果は・・・
目の前で
隣の猿がブドウをもらっていて
自分がキュウリだと怒る!!
が、しかし
これが
目の前で、でなければ
怒らない、ということなのです。
目に見えないところで
“みんな”がブドウをもらっていても
隣の猿がキュウリであれば
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つまり
“みんな”という概念は
持っていない、ということが
わかりました。
実は
目に見えないところを
抽象概念として把握する能力は
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このように
子どもの発達過程を
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